「章太郎先生」に「邱さん風カレー蒸し豚」と「カリフラワースープ」はいかが。 |
大正9年(1920)高知市で生まれました。
父親が陸軍獣医だった関係で、生後間もなく千葉県市川市へ、その後四国善通寺市また
市川、東京小岩と軍隊のある町を転々としています。
昭和20年25才の時、脊髄カリエスを発病。
毎日布団の上で腹這いになって小説を書いていた姿勢がよかったのか、2年位で峠を
越しました。
昭和28年33才の時、『陰気な愉しみ』『悪い仲間』で第29回芥川賞を、続いて56年に
日本文学大賞を『流離譚』で受賞しました。
この『流離譚』は安岡家のルーツを綴った長編歴史小説です。
父親の生家に伝わる『安岡文助の日記』や文助の長男覚之助が戊辰役の戦線から
家人に宛てた書簡を資料にして書いています。
安岡家は土佐藩の郷士で、その住宅は古く、現在国の指定重要文化財になっています。
奈良との関わりと言えば、文助の3人の息子の一人、安岡嘉助なのです。
嘉助は土佐藩を脱藩、天誅組に参加、西吉野をかわきりに、天川、下市、東吉野、宇陀と
移動しています。
章太郎先生は吉野川周辺をさまよった場所を訪ねた時、白い塀から枝を差しのべている
柿の木を見て、嘉助という人の望郷の念がくっきり判ったと、大江健三郎氏との対談で
言っています。
「天誅組」とは幕末に徳川幕府を排し、天皇を中心とする新しい統一国家を建設する
という目的の元、旗揚げした集団で、もう1週間程遅ければ、英雄になったかもしれない
悲劇の人達です。
そこでカレーですが「邱さん風カレー蒸し豚」と「カリフラワースープ」はいかがでしょうか。
天誅組、吉野とつながらなくてすみません。
作家で実業家、現在もご活躍中の邱永漢氏とは非常に親しく、しばしばご自宅の
「邱飯店」でご馳走になっておられたそうです。
今回レシピを拝借し、少しアレンジしてみました。
材料: 豚バラ肉、大ぶりの里芋、緑茶、醤油、蜂蜜、酒、ニンニク、特製カレーミックス、
ひもとうがらし、カリフラワー、玉葱、片栗粉、卵、塩、コショウ、サラダ油、
くこの実
作り方: ①豚バラ肉600gに醤油大スプーン2杯、蜂蜜小スプーン1杯をまぶしつけ、
1時間ほど置きます。
こうすると焼き色がきれいに付きます。油は黒くなりますれどね。
②サラダ油を熱し、汁けを拭いた①の豚肉をキツネ色に揚げ、緑茶で洗い、
油臭さを落とします。
③深みのある皿に1㎝幅に切った豚肉、里芋を交互に並べ入れます。
④醤油大スプーン1杯、酒大スプーン1杯、蜂蜜小スプーン1杯、ニンニク1コの
すったもの、特製カレーミックス大スプーン1杯を混ぜ、③の豚肉と里芋にかけ
圧力鍋で40分蒸します。
⑤ひもとうがらしは軽く油通しをします。
⑥カリフラワーは塩ゆでし、はなの部分を削って、軸と玉葱1/4コの炒めたもの、
中華スープ2カップを合せてミキサーにかけます。
⑦⑥を鍋に戻し、塩コショウで味を入れ、片栗粉でとろみをつけます。
その中に卵の白身を回し入れます。
盛るときにくこの実を1つ飾るとアクセントになります。
トロットロッの豚肉と里芋はカレー味とよく合っているんですよ。
そして、奈良産のひもとうがらしの甘くて何と美味しい事、絶品です。
章太郎先生はフランス映画をこよなく愛され、シャンソンしか歌われなかったそうです。
昭和58年には甘いマスクのアランドロン、岸恵子さんとテレビ対談をしています。
そこで映画ルネ・クレール監督の「パリの屋根の下」の主題歌、ジャクリーヌ・フランソワの
「パリの屋根の下」を紹介しました。
先生はオシャレだったのですね。