上林先生に「開運の幸せカレー中華」はいかがでしょう。 |
明治35年(1902)高知県幡多郡田ノ口村、現在の黒潮町で生まれました。
本名は徳広巖城。
ペンネーム「上林暁」の命名は、熊本第5高等学校時代に下宿した町「上林」に由来し、
「暁」はその下宿から見た金峰山の暁がきれいで字画も良かったので決めたと云う事
です。
大学卒業後は「改造社」に入社、雑誌記者として働きながら、このペンネームで
同人誌「風車」に小説を書いていました。
昭和7年(1932)雑誌「新潮」に「薔薇盗人」を発表、文壇にデビューします。
以後「安住の家」「ちちははの記」「望郷記」と私小説作家としての地位を固めて
いきました。
この頃昭和11年友人の紹介で中央線「阿佐ヶ谷」駅に近い天沼に住居を構えます。
そして「阿佐ヶ谷将棋会」に参加、将棋を指し酒を酌み交わす様になりました。
そこには井伏鱒二、濱野治、青柳瑞穂、亀井勝一郎、太宰治の諸氏がいました。
純文学に徹して清貧に甘んじていたのでしょうね。
以後「明月記」「遅桜」「聖ヨハネ病院にて」を発表。これらは病妻物と呼ばれ、代表作に
なっています。
昭和21年発表の「聖ヨハネ病院にて」は、聖ヨハネ会桜町病院に入院した妻に
つきそう夫の物語です。
後にこの作品は「病妻物語 あやに愛しきとは」の題名で映画化されました。
昭和44年芸術院会員。
昭和47年勲三等瑞宝章を受章。
48年「ブロンズの首」で「第1回川端康成賞」を受賞。
川端先生染筆の「上林暁生誕の地」の碑が故郷入野松原に、その横に上林先生自筆の
文学碑『梢に咲いてゐる花よりも 地に散ってゐる花を美しいと思ふ』も並んで建って
います。
ところで奈良・斑鳩との関わりですが、昭和13年発表の随筆「法隆寺の敬礼」があります。
大学2年夏季休暇を終えて、友人と奈良を訪れた時の回想記です。
法隆寺を立ち去る時友人が突然敬虔な礼を送ったのを見た様子を書いています。
奈良には東京と高知を行き来する中で幾度となく立ち寄っているのですね。
そこでカレーですが、「開運の幸せカレー中華」はいかがでしょう。
上林先生は
『半年に1ペン位ピノチオに来て支那蕎麦を食うだけで、ひどく幸福を感じているんだ。』と
人に語っていました。
ピノチオとは東京杉並阿佐ヶ谷にあった中華料理店で作家・文士の溜まり場でした。
昭和初期には中華そばを支那そばと呼んでいましたね。
材料 牛こま肉、玉葱、カレー粉、塩、コショー、サラダ油、自家製冷凍カレールー、
出汁、市販の中華そば、青ネギ、卵、片栗粉。
作り方 ①フライパンにサラダ油少々入れ、牛こま肉150g、玉葱1/2コの細切を軽く炒め、
塩、コショー、カレー粉少々で味を付けます。
②出汁は昆布水に鰹節を入れ煮て濾したものに、醤油、みりんで味を入れた
もの。
③①に解凍したカレールーを入れ、②の出汁を3カップ入れて煮ます。
とろみは水溶き片栗粉でつけます。水大スプーン2杯に片栗粉大スプーン1/2杯
入れて溶かしたもの。
④卵は半熟にします。圧力鍋に水2㎝と塩少々、卵2個入れ火にかけます。
おもりが動けば火を止めて3分、圧を抜いて取りだし水につけます。
中がとろとろの仕上がりになるんです。
⑤鉢に茹でた中華そばを入れ、③のカレーをかけ、笹切りの青ネギ、半熟卵を
のせて出来上がりです。
半熟卵を割った中から、黄身がトロ~と出てきた時って、幸せを感じますよね。